古谷昇さんの電子書籍
「もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる方法」
を読んで参考になった話をピックアップしてご紹介します。
古谷昇
1956年、東京都生まれ。1981年、東京大学工学部卒業(計数工学修士)。1987年、スタンフォード大院経営工学修士(MS)。1981年、ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。1991年、同社ヴァイス・プレジデント就任。同社シニア・ヴァイス・プレジデントを経て、2000年、株式会社ドリームインキュベ-タ(DI)設立、代表取締役に就任。BCG時代は、医薬、エンターテイメント、消費財、自動車をはじめ、さまざまな分野で、新規事業戦略、営業・マーケティング戦略、研究開発戦略といった数々の戦略策定及び実行を支援。
(PHP『人名辞典』参照)
スタンフォード? ボストンコンサルティング?
あー超エリートの秀才の話ね、はいはい。と侮るなかれ
(この本読む前の私のように)。
この本からは実際にビジネスの現場で戦っているものに
しかわからない雰囲気がビシビシ感じられます。
しかも私たちのような中小企業がすぐに使えるエッセンス満載です。
お楽しみあれ。
①コツで覚える
古谷さんいわく、
「お勉強で身につくノウハウには限界がある」という。
跳び箱を飛べない子供に普通の先生だと
「助走スピードを上げろ」「踏切位置はここ」
などと必要なポイントを一つひとつ挙げて教える。
そして何度も何度もトライさせてできるのを待つスタイルである。
これではダメだという。これではなかなかうまく飛べるようにならない。
一方コツというものは、
「まず両腕で体重を支える感覚を覚えさせる」
らしい。ほんの数分間、両脚の間に手をつかせ、
両手で自重を支えさせてみると、皆面白いように
跳び箱が飛べるようになる。
「こういうのをコツといい、ビジネスにおいても何ら変わりない」
これ、本当にそうだと思います。
私がゴルフを教わった師匠は、初めて私がゴルフクラブを握った時、
「ボールに当たらなくてもいいからとにかく思いっきりクラブを振れ」
とだけ教えてくれました。
握り方はこう、腰はこう、だとかは一切なしです。
そのおかげで最初の練習から楽しく(最初のラウンドは地獄でしたが)、
このおかげで人に迷惑をかけない程度まで上達するのは早かったと思います。
また、仕事の場面で人にアドバイスする時に、必要なポイントを
一つひとつ指摘してしまうことがいまだにあるなぁと反省しました。
人にアドバイスする時は、それを忘れないだけで大体のことが解決する「コツ」だけを伝えることで、相手が一気に成長できるよう気を付けないといけませんね。
②プレゼンの極意は「声を大きく」
声を大きく、スライドを見ない、テンポを変える。この3つだけ覚えると、「跳び箱のコツ」とおなじように
新入社員でもプレゼンがうまくなる。スライドの構成やしゃべりの上手い下手、など細かなテクニックを
プレゼン下手な人がやろうとしても上達しない。
だいいち覚えることが多すぎてヤル気が萎えてしまう。声を大きくするだけでプレゼンはかなりよくなる。
声にハリが出て(中略)説得力が出てくる。スライドを見ないことで「聞き手の方を見る」。
これで格段の信頼感が出て、同じことを言ってもぐんと説得力が増す。
みんなの反応も分かるから、場合によっては途中で軌道修正ができる。テンポについては話す内容が頭の中でハッキリしていれば強調したい所、軽く流すところがわかり、話し方におのずとメリハリがつく。それに応じて話すテンポが変わる。
あぁ、淡々と目を合わさず話してしまいがちな私を罵倒するようなありがたい教えです。
確かに私の周りを見渡しても、トークの上手い下手よりも、声が大きくて相手を見て話しできる人から影響を受けることが多いなと思います。
よく考えてみると社長たるもの、社員や取引先へのプレゼンだらけです。
これも目新しいことではないですが、大事な『コツ』ですね。
ここまでいささか抽象的な小話が二つ続いたので、
次はちょっと具体的な小話に行きたいとおもいます。
③戦略を考える時は相対性が重要
どんな業界を分析してもほとんど間違いなくこういう形(下図)のグラフになる。

グラフの左側の「売上高 は低いが利益率は高い」ゾーンと、右側の「売上高も利益率も高い」
ゾーンにいる企業は、今後もだいたい生き残る可能性が高い。
もっとも可能性が高いというだけで、必ず生き残るとはいえない。
自分たちは左に行くか右に行くか、
すなわち規模は小さいが儲かる会社にしていくのか、
売上をどんどん大きくして規模で勝負する会社にしていくのか、
この二つしか道はない。
これはもう、一種のビジネス法則に近いといっていいもので、驚くほどよく当たる。
これだけだとちょっとモノづくり界隈の会社でイメージしにくいかもしれませんが、
あなたの知っている同種の会社で比べてみてはいかがでしょうか。
何も大企業と比べるのではなく、
あなたの倍くらいの売上規模の会社の利益率はどうなっているのか。
半分くらいの規模の会社は?
比べてみると適正な人員の数や種類、顧客の数などが見えてきます。
ついつい私たちは自分たちよりも規模が大きくて派手な会社に憧れてしまいますが、
自分たちより小さくて利益の出ている会社があったりもします。
まとめ
今回の古谷さんの書籍ををご紹介したうえで一番私が共有したかったこと、それは
「自分が未体験、未経験の業種でも、汎用性のあるコツを知っているだけで色んなことに使える」
ということでした。
私もだんだんわかってきました。
「人間が関わることって大体同じやな」と。
逆に言うと同じ業界だけに長くいると、ついついクセで、そういう宇宙の法則(古谷さんが言っている『ビジネスの法則』)のようなものが見えなくなってしまい、慣習に従ってしまう罠にはまってしまいがちだと思います。
そして最後に、古谷さんも言っていますが、
「あなたはすでに答えを知っている」
という事実は重要です。
もしかしたら気付いていないかもしれませんが、大体の問題の解決策をあなたは知っている。
良かったですね。
ビール飲みましょう。完)
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